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違和感を感じました
ある文芸評論を読んでいて、違和感を感じました。いや、内容そのものはこれまで私が読んできた評論とそう変っているわけではありません。むしろ、変っていないことに違和感を感じたのです。 どんな文化にも何らか(神話、民話、昔話、童話など)の形で「フィクション」が存在するところを見ると「人はフィクションを必要とする存在である』と言えそうです。そのフィクションの代表が、たとえば小説。しかし、もともと「フィクションと現実の関係」は微妙なものです。だってフィクションは「現実ではないこと」を「現実の中」で述べるものですから。そしてその小説(フィクション)と現実の微妙な関係について論じるのが、文芸評論の機能の一つでしょう。 「3・11」以降、私たちは強引に「過酷な現実」と向き合わされています。無視することも可能ですが、「無視する」こと自体がやはり「関係の一種」と言えます。そういった状況で「フィクション」がどんな意味を私たちに伝えるのか、それは「3・11」以前とは少し変っているはず。その「フィクションと現実」「フィクションと読者」「現実(社会)と読者」の「三角関係」は、いつかはまた元に戻っていくのかもしれませんが、少なくとも現在は幾分かでも変容しているはず。そういった「関係の変容」を無視して、今までと全く同じ態度で「ベテラン作家なのにこの小説の出来は……」などと言っている文章は、結局読者に何を伝えようとしているのでしょう? 私が書いているような「読書感想」だったらまだそれでも良いでしょうが、「単なる読書感想」なのだったら「評論」の看板はおろした方がよいとさえ私は思います。
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